「渡辺さんから去年買ったブラウスの色止めをして欲しいのですが」と留守番電話にメッセージが入っていました。
色止めってなんだろう?色がドバーっと落ちてしまったのかな?いや、そんなはずは、、、とだんだん不安になりながら、お電話くださったOさんと連絡がとれたのでお話ししてみました。
よく聞いてみると、その問題のブラウス、色止めが必要というよりも、表側が色あせしているよう。染め直しすれば復元しそうです。
Oさんはそのブラウスを、お洗濯してガンガン日の当たるところに干していらしたご様子。洗剤もごく普通の洗濯洗剤をお使いになっていたよう。大胆なお手入れ方法に、私は思わず「えぇーー!」
「手入れの方法も聞いたような気がするし、"海へ、、、"もいただいてきたのだけど、私ってそういう細かいことが苦手なのよ〜」とOさんが笑いながらおっしゃるので、つい私も笑ってしまいました。
この一件を話すと、「服を買って舞い上がっているときに、手入れの説明なんかしたって馬耳東風でしょ」と夫がいうのです(Oさん、すみません)。うまく女性の心を言い当てていると思いました。
私としては、色落ちを気にしてたんすにしまっておくよりも、「せっかくなんだから、毎日着ようと思って」とOさんがおっしゃってくださったのが嬉しかったのです。
色が変わったって多少落ちたって、それは草木染の味。元どおりの色がよければ、染め直しという選択もありますし(元どおりにならない色もありますが)。こういった手仕事ものは、毎日つかってこそ生きますよね。
私も藍染の仕事着は、さんざん洗って干した結果、トロトロの手触りの枯れたいい色になりました。穴が空いていますが、洗っては毎日着ています。
きれいに色落ちしながら味わいも増していくような染め方なら、なおよいですよね(これもお手入れ方法によるとは思いますが)。これからの課題になりそうです。
ストールに気を取られて、服の写真を載せていませんでした。こちらはインディゴ染めのコットンリネンでつくった、前開きのコートドレス。細めのタックが入っています。明るめの藍色なので、五倍子で更に染め重ねて紺色にしました。
いちばん上のピンクのブラウスは、コチニールで染め重ねたもの。鮮やかに染まりました。